「ラジオ深夜便」(6月8日、9日放送)で、加山雄三さんへのインタビューがありました。
その中での印象的なコメントを採録してみました。
〜自分は、左脳系〜
やっている仕事の内容は、ほとんど右脳なんですよね。
絵画にしてもそうですし、歌にしても作曲にしても、歌うというエンターテインメントにしてもそうですけど・・・
だけど、ふだん趣味的にやっていること(船の設計など)は左脳系が多いですね、どういうわけか。
何でそうなってるかといったら、もしかしたら、自分でバランスを取ろうとしているのかなあとも思うんですよね。
〜黒澤明監督と「赤ひげ」〜
あの作品でですね、黒澤さんが赤ひげ先生で、僕が保本登(演じた役名)になっちゃったんですね。
本当にそういう感じになったんですよ。
保本は養生所に残りますよね。
僕は、撮影所というところに残ろうと・・・
完全にダブりました。
心理学的に、映画の中で人間を表現することの難しさ、面白さを、黒澤先生が実際に教えてくださったことがあるんですよ。
例えばですね、“現実の中のリアリズムと、映画の中のリアリズムは違うんだぞ。映画の中には枠があって、その中でどういうアングルでどういうふうな姿勢でしゃべっているかによって、見ている人の実際の中の心理と、その中から出てくるものがピタッと合うようにしなければ、本当のリアリズムにはならないんだ”、と・・・。
〜黒澤明監督の言葉〜
自然体と言いながらも、その中に出てくるものが、自然体に見えるものでなければならない。
セリフというのは覚えて言うのではなく、思うと出て来るんだ。
〜「若大将」について〜
若大将はあなたそのままでしょうが、って言われるけど、あれはやっぱり演じているんですよね。
というか、思うからセリフが出てくるし、現実に自分に近いところはありますね。
ただ、あんなにモテません。
ただ、スポーツをやれば、必ず優勝なんてありません。
歌っちゃっても、必ずヒットするとは限りません。
映画の中のひとつの理想論だったんですけどもね。
それが大勢の人の心に共感をいただけた。
30年後の理想を描いていたかな。
DVD「お嫁においで」&写真集 銀幕の若大将 加山雄三 YUZO KAYAMA THE TOHO YEARS 1960-1972
〜音楽について〜
あくまでも、アマチュアである気持ちをずっと維持したい。
プロ意識を持たないようにしようと・・・
なぜなら、こよなく音楽を愛してるんですよね。
学生時代、バンドをやっていて「音楽が好きなんだな。プロになると音楽に対する愛情が薄れるんだよ」と言われたことがあって・・・
作りたくないときは作らない、音楽に対してはわがままに・・・
それが今も作りたい、という気持ちになれる大きな要因と気がついた。
〜不遇な時代〜
酔っ払ってね、立木を拳固でひっぱたきながら喚いて、涙流しながらチキショーってやるとね、後ろから家内がそっと抱きしめてくれてね、「わかる、その気持ち凄くよくわかるから・・・、でもね、生きているからこそでしょ、頑張りましょうよと言われるとね・・・
思い出しただけで、辛くなりますよ。
逃げないで、責任を感じながら、俺は越えられるぞ、人間思い通りに生きられるんだと信じることなんだ。
夜考えないで、朝起きたと同時に頭の中で望みを唱える。
毎日が新しいスタートと考える。
過去もこれから起きることも、ここ一点にあると考える。
〜乗り越えた、今〜
逃げないで、心で受け止めて、乗り越えようと一生懸命になっていると、力が自分に備わってくるのではないか、ということを学んだんですね。
学ぶことっていうのは、苦しみというものはね、何を与えてくれるかっていうと、それは幸せを幸せに思う心を与えてくれるんだ。
もし、心に筋肉があるとすれば、その筋肉を鍛える必要があるかもしれないな。
そのことが頼りになって、生きていけるかもしれない。
人は、すべて鏡なり。
その鏡に映るおのが姿を見て、自分の存在理由と存在価値を知れ、そういうふうに自分に言い聞かせているんですよ。
周りの鏡、大切にした方がいいなあ、割っちゃいけないな。
正直に映る鏡を置いておいて、そこに映る自分の顔を見て、嫌な顔をしていたら、ヤバイヤバイ・・・。
生きているってことは、役割があると思うことがとても大切なことで、僕としての役割は、やはり来てくださったファンの方が歌を聴いたりして幸せに思ってくれる、それが役割なんだろうなあ、天職なんだろうと・・・。
放送の内容は、下記へどうぞ。
疲れたら休め・・・〜加山雄三さん・永遠の若大将(1)「ラジオ深夜便」
疲れたら休め・・・〜加山雄三さん・永遠の若大将(2)「ラジオ深夜便」
疲れたら休め・・・〜加山雄三さんの歌づくし 「ラジオ深夜便」