まあ、とりあえず嫁を大事にして
あとはなんだ、まあ建物だったり土地だったり
一時的なもんだからなあ
福島県飯舘村の男性(農業)
「ドキュメント72時間“村長選挙 旅する投票箱”」より
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こちら(宮城県)では、毎週木曜日昼に「被災地からの声」(NHK)という番組を放送しています。
欠かさず観ていますが、当然ですが、時間経過とともに登場する人たちの状況も声も変化しています。
もちろん、一人一人被災の状況は違っていて、立ち直りつつある状況も、抱えているものの大きさも人それぞれに違っています。
表に出ないけれども、いまだに時間が止まったままの人もいるでしょう。
個人的には大きな被害も無く、だからと言って、特に被災された方たちのために大きな行動を起こしたこともありません。
持病や年齢のせいにして・・・。
そのことが常に申し訳なさや後ろめたさのようなものになっていて、せめて番組を欠かさず観ることを自分に課して過ごしています。
番組を観ていて、特に複雑な思いがあるのは、福島からの映像ですね。
地震や津波のほかに、原発の被害がありますから・・・。
元に戻るまでの時間、ゆっくり進む時間を考えては、どうしてもテレビ画面を複雑な思いで見つめてしまっています。
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「ドキュメント72時間 “村長選挙 旅する投票箱”」(NHK・11月25日放送)では、飯舘村長選挙の投票箱が仮設住宅や避難先を巡り、その地での住民の声を紹介していました。
上の言葉は、村役場での選挙の帰りに畑の手入れをしている男性のものでした。
いつ帰れるかわからない故郷、帰れるとしても現実的に生活が難しい状況にあるということ。
同行していたフィリピン人の奥さんを思いやりながら、語った言葉です。
毎日途切れることはない、震災に関係する番組やニュースを観ていると、他地域から移り住んで被災地のために頑張ってくれている人、自分も被災しているのに他人のために頑張っている人などが大勢いることがわかります。
次の世代、その後に続く世代のために、という姿勢が見えることが多くて、こちらは正直、何もしていないことの申し訳なさや後ろめたさを感じることが多いですね。
そのせいでしょうか、何気ない(ご本人にとっては大切な)上の言葉にちょっとホッとしている自分がいます。
土地も建物も長くは残らないかもしれないけれども、まずは奥さんが大切。
作業を終えて去る前に、奥さんが家の前に咲いている菊の花を摘んでいました。
“きれいね” という言葉に、スタッフが思わず “ああ、きれいですね” と・・・。
“Flower for you” 笑顔で渡す真似をする奥さん。
車で去って行く二人。
確かなことは、ご主人は奥さんを大切にし、奥さんは幸せに暮らせそう、と想像できたことでしたね。
村長選挙は現職の町長が再選され、2017年3月の帰村に向けて動き出したようです。
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